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特装車設計チームは塵芥収集車などのクルマの架装部分を設計する部門です。今年ロータリープレス車のモデルチェンジ時期を迎え、設計が佳境を迎えている。モデルチェンジの設計リーダーである村尾建司さんと入社1年目の新人エンジニア・中西隆行さんに特装車設計における生の声を聞きました。
まずは初めて実践での設計に携わった中西さんに率直な感想を聞いてみました。
「私が最初に担当したのはリヤのトビラ部分の設計です。ロータリープレス車の特徴である回転式のドラムを支持する仕組みが変わったため、トビラもそれに合わせて形状や開閉のメカニズムを変更する必要があったのです。車体全体を描いた図面を元に、部品図を作っていくのが私の担当です」(中西)
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「私の場合は使用する鉄板の規格をおぼえる基礎的なことから始めました。さらに部品図を描く前に全体の設計図を読み取る必要があります。でも設計図は複雑なのでぱっと見ただけでは頭の中で立体化できません。そこで現行モデルの実車を見て形状を頭に入れ、それを図面と照らし合わせることで徐々に設計図が読めるようになりました」(中西)
「天井のカバーの設計も担当しているんですが、ここでは形状とコストを両立させる設計が求められました。骨組みを使った構造の工夫や鉄板の厚さを調節したり。もっとも最適な設計はどれなのかを現在検討中です。それにデザインも製品としては大切な要素ですから、街中を走っているクルマなどを見て自分ならではの案を作っています」(中西)
塵芥収集車のメカニズムを動かしているのは油圧なんですが、現在のモデルは手動です。そこに電磁弁を使ってもっと使い勝手を良くする設計を考えています。しかしクルマの性格上、メカニズムを複雑化して故障が増えるのは避けたい、もちろんコストも下げなくてはいけません。さらに油圧システムは外部メーカーと連携して設計するのですが、仕様通りのものが製作可能なのか、そのやりとりも難しいところです」(村尾)
モデルチェンジのプロジェクト以外に特装車設計チームが主におこなっている業務は標準仕様に対してオプションを設計していくことです。乗用車と違って塵芥収集車は使われ方が千差万別、それぞれの客先に合わせて仕様も細かく変更する必要があるといいます。
「以前設計したオプションではこんなものもありました。安全性や作業性の高いロータリープレス車という塵芥収集車があります。しかしある客先で作動時の音をもっと低くして欲しいという要望がありました。そこでまずは音源の調査から入りました。部分的に防音処理をするなどの対策をして音の変化なども試してみました。なかなか対策が打ち出せないでいるとき“モーターの回転数が変わると作動音も変わる”事を発見。そうしてモーターが原因だということを突き止め、早速対策を施しました。その後このオプションは評判が良く標準化されました」(村尾)
「平面図で描いた設計が立体になってくる喜びですね。また納品やテスト車をデモするときなど、お客さんが喜ぶ姿に接しする瞬間も満足感があります」(村尾)
「先輩からは“新人だからこそ考えられる案を出せ”と言われています。難しいことですが、自分の考えが設計に反映させられるのがやりがいを感じる瞬間です」(中西) |
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